参加の呼びかけ
今日、日本と世界の経済・政治・社会・文化は、様々な問題を抱えています。日本では、金融危機を内包した景気の長期的低迷の下で、倒産や解雇が激増し、勤労者は深刻な失業と本格化した賃下げに直面しています。また、社会保障の水準は引き下げられ、女性差別も温存され、不安感の高まりの中で精神疾患や自殺者も増加しています。保守政権はこのような勤労者の諸問題を根本的に解決できぬばかりか、新保守主義の思想に基づき勤労者を市場の荒波にまかせる政策を推進しています。
独占資本による対外投資の活発化、それを通して進展する世界経済のグロ−バル化は、無制限な競争の激化をもたらし、人員削減を伴うM&Aも増大しています。日本以外の先進資本主義国もまた失業問題を克服できず、発展途上国は累積債務の重圧に苦しめられています。中国をはじめとする社会主義国は市場機構を活用した社会主義建設を進めていますが、ソ連型社会主義の崩壊後、世界政治は不安定度を増し、発展途上国の貧困は国際的なテロの温床となり、局地的な戦争も増加している情勢にあります。
このような日本と世界の諸問題を分析し解決の道を探るためには、現在、多くの研究者の協力が必要とされています。その共同作業の場として、私達は「現代社会問題研究会」を創設しました。
この研究会は、これらの諸問題を研究していく共通の土台として、マルクスにより打ち立てられた科学的な理論を据えています。マルクスがその生涯をかけて創り上げた理論は、現代の経済・政治・社会・文化を分析する上でも有効な視座を与えてくれており、それを基盤とする研究が、今、一層重要性を増していると考えるからです。
以上に述べた趣旨に基づいて、「現代社会問題研究会」は全国の研究者が集い、研究の交流を行っています。具体的な取り組みのひとつとして、毎年1回、通例8月に、東京で「夏季研究集会」を開催することにしています。この場に、多くの方々がご参集され、深い研究交流ができることを、私達は期待しています。
2002年7月1日
現代社会問題研究会