2009年夏季研究集会のご案内
昨年9月のリーマンブラザーズ証券の破綻をきっかけとして、翌10月の株価大暴落に始まった世界金融危機(及びその後の世界同時不況)は、金融資本の支配的な現代資本主義の矛盾を世界的に明るみに出した。そして、この事態を、1929年世界大恐慌以来の「百年に一度」の危機(あるいは恐慌)として、「金融資本主義」を弾劾する論者は左右を問わず数多く見られるようになった。
他方で、国際金融危機に対する各国家の対応も注目しなければならない。金融資本に対する規制の強化、社会政策(福祉国家)の再評価、国際協調による対応の模索など、総じて、国家による市場規制・経済介入が政策基調として再登場しているかに見える。言うまでもなく、それらは資本主義の枠内における対応には違いないが、29年恐慌とその後の体制的危機に対する資本主義のあり方(国家独占資本主義、現代資本主義)を考えれば、当然に導き出される国家の対応であろう。
現在の世界金融危機を転換点として、今日の資本主義は、その政策基調を、この間の「資本主義の論理」に忠実な新自由主義から、「資本主義の歴史」に学んだ資本主義へと回帰させる可能性は十分にある。その可能性とその新しさ、さらにはそれが持つ限界は分析されなければならない。
今年度の現代社会問題研究会・夏季研究集会は、以上の現状認識にもとづいて、テーマを「世界金融危機と現代資本主義国家」とし、各国の金融危機に対する経済政策(雇用・失業対策、労働組合・政党の考え方等を含む)を取り上げることで、その意味と限界を構造的に検討する。
と き 8月29日(土)13時−17時
ところ 立教大学12号館地階会議室 JR
世界金融危機と現代資本主義国家
T 世界金融危機と各国の対応(13時〜14時30分)
報告@ アメリカの対応策 北村 巌 氏
報告A アメリカの対応策 水口雅夫氏
報告B 日本の政策 田中信孝 氏
報告C イギリスの政策 畑 隆 氏
U 各国の経済政策の意味と限界(14時50分〜16時50分)
経済政策の限界をどう見るか 伊藤 修 氏
討論
参加費 1000円 *終了後、懇親会(会費4000円程度)も予定。ぜひご参加ください。
*衆議院選挙の投票日の前日という日程になってしまいましたが、選挙後の日程での再設定は難しく、予定通り開催させていただきますことご了解下さい。
現代社会問題研究会
佐賀大学経済学部 平地一郎研究室気付
0952−28−8459 E-mail: hirachi●cc.saga-u.ac.jp
●を@にかえてください。